Works
ソトマで育てる、ソトマでつながる

「未来の風景をつくる」住宅コンペ最優秀賞/審査員:五十嵐太郎・原田真宏・藤村龍至・間宮晨一千/2013.5-2015.4, 2015.11/木造/2階/日進市/建築ジャーナル2015.6掲載,新建築住宅特集2016.4掲載,日経アーキテクチュア2016.6.23掲載

郊外の戸建て住宅地(名古屋市と豊田市の間にある日進市が敷地です)におけるコミュニケーション空間としての庭「ソトマ」を3棟の住戸で緩やかに囲むプロジェクトです。ソトマとは「外の居間」を意味する造語です。ソトマを分割する敷地境界線は視覚的には認識されず、住民が思い思いに過ごす、街並みに開かれた半私的/半公的空間となります。

地域のデベロッパーによる実施コンペの最優秀案として選定された後、販売パンフレットを作成し、それを見てコンセプトに賛同した、もともと面識の無かった3組の施主とのワークショップを通じて、ソトマのあり方を話し合いました。結果、ソトマの中央にベンチと砂場を設けることとなり、砂場の中央には3つの敷地の境界線が通っています。

南北に2.4mの高低差がある南垂れの敷地は、計画当初、ひな壇造成されていましたが、高さ方向に0.4mで分割し、平面/断面方向に複数個のボックスをずらし、貫入させた単純な構成により、敷地レベルに馴染む複数の床レベルを設定しました。

ソトマに面して居間やキッチンを配置し、内部からソトマへの視線が抜けるように開口を設け、外部側にデッキとパーゴラを設けています。これは3棟共通のデザインコードであり、外からの視線の緩衝空間となります。外壁は同種の金属板を用いながら、異なる葺き方とすることで、差異化を図り、集落のような雰囲気が生まれました。

各ボックスの内部計画として、住まい方の要求に応じて各室を割り当てながら、内部に面したボックスの2階部分の壁面には開口を設け、全体としては一室状の空間となります。開口は上下階のコミュニケーションのきっかけとなります。

ボックスのズレが生みだすコーナーには、畑やシンボルツリーが置かれ、ソトマでは野菜作り、バーベキュー、鬼ごっこと、住民たちのリラックスした時間が流れています。各戸の個別の要求に応えつつ、集落としての調和を合わせ持つ、許容度の高い空間構成が生まれました。