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名古屋大学 ITbM(Institute of Transformative Bio-Molecules,トランスフォーマティブ生命分子研究所)

【名古屋大学施設・環境計画推進室にて基本計画・設計監修・コミッショニングを担当】2013.1-2015.03/実施設計:名古屋大学施設管理部、久米設計/SRC造/7980㎡/5階/名古屋市/新建築2017.4掲載

壁を無くし、研究者の出会いを生む「ミックス・ラボ」

文科省の世界トップレベル拠点プログラム(WPI)として事業採択された、合成化学、触媒化学、システム生命科学、動植物科学といった理学系の研究者が集い、革新的機能分子「トランスフォーマティブ生命分子」を生む学際的融合研究拠点である。世界トップレベルの研究機関と協働する入居者らが企画段階で提示したのが「ミックス・ラボ」という概念である。異分野間、教授・学生間、実験室・研究室間の壁を設けずに、研究者同士の出会いと交流を促進し、融合研究を加速させる、という意図である。

計画地中央には築35年以上経過した既存実験棟(1977年竣工)が存在し、その耐震補強を行うことも設計条件であったが、新研究棟で既存実験棟を覆うという建て詰まりゆえの解決法としてアクロバティックな構成に至った。既存実験棟は交流の起点となるエントランスホールとして再生し、窓越しにイベント風景や人の往来が垣間見え、頂部にトップライトを設けた明るい空間となった。

研究者の生活行動は実験室と研究室の往復が多く、その中に出会いのきっかけを挿入するのが有効である。そのために研究室と実験室を1フロア最大限に確保し、廊下ではなく、居室内を移動することで多数の研究者と出会う構成とした。上下階を1ユニットとし、2・4階は広い実験室ゾーン、3・5階はコの字型平面によって分節的でありながら視覚的に一体感のある研究室ゾーンとし、両空間を吹き抜けと螺旋階段を介して結んだ。研究室ゾーンには日常の動線の中に交流スペース(キッチン等)を配置した。 竣工後、定点観測カメラによって、領域を超えた交流活動の展開を確認した。